コンセプション(Conception)とは、「受精・懐妊」の意味で、新しい命を授かること。プレコンセプションケア(Preconception Care)とは、若いうちから将来の妊娠を考えながら女性やカップルが妊娠前の健康管理に取り組むことです。
これにより、女性やカップルが正しい知識を持ち、日々の生活や健康と向き合うことで、将来、妊娠や出産を望む場合は妊娠・出産に向けた適切な準備ができます。
妊娠・出産を望む女性やカップルだけでなく、今は妊娠を考えていない方にも大切なことであり、実際に妊娠・出産するのは女性ですが、男性の正しい知識に基づいた行動が、男性だけでなく女性や赤ちゃんの健康につながっていきます。
若い女性のやせ・肥満の増加、出産年齢の高年齢化などリスクの高い妊娠が増えています。妊娠前に自分の体を知り、リスクを減らしていくことが、将来の健やかな妊娠・出産につながります。
「生理不順」「生理痛」など月経に関係することが不妊の原因になることがあります。妊娠や出産について正しい知識を得て行動し、将来の不妊のリスクを減らします。
また、妊娠・出産の選択の有無に関わらず、自分の体を知ることは、長い人生に大切なことです。
主治医に妊娠を希望していることを伝えましょう。
薬によっては妊娠に影響したり、妊娠することで病状が悪化することも考えられます。
主治医の管理のもとで、安心して妊娠の準備をしましょう。
「月経周期」を正しく理解していますか?
月経の初日から次の月経の前日までのことを言います。
月経周期が決まっていれば妊娠しやすいタイミングが分かります。
次回月経の14日±2日前に排卵があると予測されます。
排卵時期が分かることで、卵子と精子の寿命から、妊娠しやすい時期、しにくい時期が分かります。精子の寿命は3~4日、卵子の寿命は24時間です。(受精できるのは6~8時間のみといわれ、出会うタイミングが大事です。)
月経があっても排卵していない場合もあります。基礎体温を測ることで排卵の有無、卵巣機能が正常か分かります。測定について、詳しくはこちらをご覧ください。
例えば、月経が12月28日~1月1日、1月25日~29日で、ずっと規則的な場合
→月経周期は28日
→次の月経は、2月22日ごろからかな?
→排卵は、その14日前の2月8日±2日なので2月6日~10日ごろかな?と予測がつきます
妊娠力アップのために
特別なことではなく、一般的に「健康にいい」「体にいい」と言われている生活習慣を心がけることが、妊娠力のアップにつながります。
肥満の男性の精子は、精子の数、濃度、運動性が低く、奇形率が多いことが分かっています。適正な体重になることで、精子の質が改善することも分かっています。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMI | |
---|---|
18.5未満 | 低体重(やせ) |
18.5以上25.0未満 | ふつう(適正な体重) |
25.0以上 | 肥満 |
適正な体重のためにも必要です。
また、ストレス解消など心の健康にもよいことです。
ウォーキングなど二人で楽しみながらやってみませんか?
身体的ストレス、精神的ストレスなどストレスは人それぞれですが、十分な睡眠をとり、できるだけストレスをためないよう趣味やリフレッシュできる時間を作りましょう。
女性ホルモンは脳の視床下部というところから分泌指令が出ています。視床下部はストレスに弱く、過度のストレスを受けるとホルモンバランスが崩れることがあります。
精神的ストレスにより脳下垂体からのテストステロンというホルモンの分泌が低下し、造精機能の低下につながります。
栄養不足による女性のやせは、月経不順や不妊、低出生体重児の原因になるなど、将来の妊娠や出産に影響があります。
肥満は、排卵障害との関連性が高いと言われています。
糖尿病によるED(勃起障害)や糖尿病が重症になると射精障害になることもあります。
葉酸はビタミンの一種で、しっかり摂取することで、赤ちゃんの二分脊椎などの神経管閉鎖障害の予防につながります。神経管閉鎖障害とは、胎児の神経管ができる時期(受胎後およそ28日)におこる先天異常のため、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性のある女性は緑黄色野菜を積極的に摂取し、サプリメントも上手に活用しながら、しっかり葉酸を摂取しましょう。
ただし、サプリメントの取りすぎには注意が必要です。
多く含まれるもの:
ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、枝豆、納豆、いちごなど
参照:「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」2021.3年厚生労働省
危険ドラッグや麻薬、シンナーなどは、自分の体に悪影響があるだけでなく、将来生まれてくる赤ちゃんの健康にも影響する可能性があります。絶対にやめましょう。
がんや心臓病をはじめたくさんの病気を引き起こします。
胎児の発育障害や先天異常の増加につながると言われています。
女性が喫煙しなくてもパートナーの喫煙による受動喫煙でも影響があります。
喫煙することで、精子の濃度や運動率が低下、奇形率が上昇し、妊娠しづらくなります。
男性ホルモンの低下やニコチンの影響で血管が収縮し血流が悪くなり、EDになることもあります。
男女ともに不妊症のリスクが増加します。
WHO(世界保健機構)は、妊娠中の電子タバコの使用もリスクがあるとしています。
アルコールと妊娠についての研究は多くありますが、摂取量や期間が妊娠に影響するかどうかは明らかになっていません。
ただし、妊娠中に飲酒すると、アルコールは胎盤を通って赤ちゃんにも影響し、流産や死産、胎児性アルコール症候群(妊娠中の飲酒が原因で赤ちゃんにさまざま症状が現れる病気)の原因になります。「このくらいなら大丈夫」と考えず、妊娠中はアルコールを控えるようにしましょう。
不妊・不育治療に関する疑問にお答えします
一般的には精液検査を行い原因を特定した上で、原因に対応した治療を行います。手術療法や薬物療法があります。
検査で見つかったリスク因子についての治療を行います。糖尿病や甲状腺機能の異常が見つかった場合はその疾患に対する治療を行います。凝固因子の異常や抗リン脂質抗体症候群では、内服や注射による治療が行われます。
日本産婦人科学会の発表によると、2020年に体外受精によって誕生した子どもの数は60,381人でした。この年に生まれた子どものおよそ14人に1人の割合です。
不妊・不育症に悩む夫婦は増加傾向にあります。不妊・不育症に関する悩みをお持ちの方は、1人で悩まないでご相談ください。