長野県不妊・不育専門相談センターは、長野県看護協会会館(松本市)にあります。 ここを訪れて直接相談することもできますし、電話やメールで相談することもできます。
相談員の皆さんは全員、日本不妊カウンセリング学会の認定を受けた不妊カウンセラー。学会や研修会にも参加しています。
どのようにお話を聞いているのか、実際にどんな相談が多いのかなどを相談員の皆さんに説明していただきました。
相談員
現在は、毎週火曜・木曜の10時~16時と、毎週土曜の13時~16時に電話と面接での相談を受け付けています(面談は要予約)。普段は私たち3人のいずれかが対応していますが、毎月第4木曜の13時30分~16時には、希望があれば産婦人科医師による面接相談(要予約)もしています。メールでの相談は、返信は火曜・木曜・土曜になりますが、受け付けは随時行っています。
― 電話、メール、そして直接来ていただくという方法がありますが、割合はどうですか?
相談員
昨年度の相談件数は255件で、電話が54%、メールが33%、面談が13%でした。最初はメールで、何度かやり取りして電話、そして面談というふうになった方もいますし、「顔を見て話をしたい」と最初から面談の予約をいただく方もいます。
― 意外と電話が多い印象を受けました。
相談員
電話だと、こちらから聞きたいことも聞けるので、状況が把握しやすいですね。不妊については、夫婦の年齢や不妊期間がどのくらいかによって、状況が変わるので。
― 確かに、年齢は重要ですね。
相談員
相談というのは“最初の一歩”のハードルが高いと思いますが、電話は直通で相談員につながりますし、相談センターは看護協会会館の2階にありますが、入り口からスムーズに来られるように動線にも配慮しています。最初のハードルが少しでも低く感じてもらえるといいと思っています。
― 相談員の皆さんは、助産師でもあるんですね。
相談員
助産師というのは、妊娠から出産、そして産後もサポートします。不妊の相談に来られた方が、妊娠が分かったのでもう大丈夫、ということではなくて妊娠、出産、子育てと少し先のことまで見据えてお話することに意味があると思っています。
― どのような方からの相談が多いですか?
相談員
相談センターが立ち上がったのは平成13年ですが、徐々に男性が増えてきています。昨年度は17%でした。検査を受けるところや、医療機関はあっても、なかなか男性が気軽に相談できる場所がないのかもしれません。例えば、検査を受けて無精子症だと分かったが、そのことについて自分自身の気持ちを話せる場所がない、という人もいました。これは男女問わずですが、不妊の原因が自分にあると分かっても、なかなか受け止められないものなんです。病院では治療法についての話はできるけど、なにかこう、気持ちをはき出せないというか…そういうときに、話を聞いてもらえる場所があることで、少し楽になったり、次に進む準備ができたりするのではないでしょうか。
― 気持ちの面だけではなく、具体的な相談もありますか?
相談員
これから不妊治療に取り組もうとしているが何からどうしていけばいいか迷っているとか、治療中だがこのままで大丈夫なのか、という相談もあります。やはり皆さん、どこか不安を感じていらっしゃいます。ただ、不妊や不育症というのは、夫婦の問題なので、どちらか一方がということではなく、お二人が常に同じ土俵に立っているということをその都度意識してもらえるようにお話はしています。
― 一時期に比べて減ってきている感じはありますが、それでも不妊や不育症は「女性の問題」と思われることが多いですよね。
相談員
どういう治療を選んで、どこまで続けていくのかは、二人で決めていくことです。私たちは中立的な立場の、第3者として入ることで、夫婦がお互いに思いを伝え、共に向かう方向性を確認してもらえるように意識しています。
― 当事者夫婦以外から、例えば親世代からの相談もありますか?
相談員
ありますが、親が心配して相談に来るというのではなくて、「娘から、仕事で時間がないから、代わりに聞いておいてと言われた」というような、「代打」が多いですね。親世代の皆さんは「見守り体制」に入っているというか、入らなければいけないと感じているのだと思います。
― 「周りがいろいろ言ってはいけない」「プレッシャーを与えてはいけない」という風潮ですね。
相談員
ただ、「言っちゃいけないとは分かっているんですが…」というのが本音なのかもしれません。「言ってはいけない」と思うのと、気持ちの部分は別ですから。親世代のそういう気持ちも受け止めることも、私たちの役割の一つですね。
― 相談を受けながら、感じていらっしゃることはありますか?
相談員
妊娠して出産することができるのは、ある期間に限られています。「産みどき」「育てどき」があるのは事実です。ただそれは、一生のうち一時期だけのことで、相談者にはそれまでの人生もあるし、これからの人生もある。その続きを、一緒に考えていきたいと思っています。
― 不妊治療している間だけのことではない、と。
相談員
不妊治療している今しか見えないとか、先が見えないという声もあります。でも、妊娠したといってもそこがゴールではありません。妊娠、出産、そして子育てと続いていきます。そして、妊娠できずに治療を終えることになっても、また別の人生があるわけです。
― もっと長いスパンで見られるきっかけになれば。
相談員
当事者は目の前のことしか見えないかもしれませんが、私たちと話すことで、何か別の気付きがあるかもしれません。
あとは、できれば不妊ということを聞いてもまだ先の話だと思えるような若いときに、ライフデザインについて考えてみてほしいですね。自分が思い描いた通りにはいかないかもしれませんが、それでも一度、未来を見つめてみることが大事だと思っています。
最後に、相談員の皆さんからそれぞれ感じていることをメッセージとしていただきました。
開設日時:毎週火・木曜日 午前10時~午後4時及び毎週土曜日 午後1時~午後4時
電話相談 面接相談 | 実施日時 | 毎週 火・木曜日(祝日は除く)午前10時~午後4時 毎週 土曜日(祝日は除く)午後1時~午後4時 |
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料金 | 無料 | |
予約 | 面接相談は要予約 | |
予約・問い合わせ | TEL 0263-35-1012 |
面接相談 | 実施日時 | 毎月 第4木曜日 午後1時30分~午後4時 |
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料金 | 無料 | |
予約 | 要予約 | |
予約・問い合わせ | TEL 0263-35-1012 |
不妊・不育治療に関する疑問にお答えします
不育症では、不安やうつ状態になるなど精神面での問題が起きることがあります。悩みや疑問については、主治医に相談しましょう。また、喫煙や過度のアルコール摂取も控えましょう。
加齢とともに妊娠率は低くなり、また流産などのリスクも高まります。心配、不安に思うことなどがあれば、お早めに夫婦そろって医療機関への相談や、不妊治療を検討することが大切です。
原因が不明な場合もありますが、検査をして治療を行うことが大切です。流産を繰り返しても、その後出産されたという方は大勢いらっしゃいます。
不妊・不育症に悩む夫婦は増加傾向にあります。不妊・不育症に関する悩みをお持ちの方は、1人で悩まないでご相談ください。